街の木の命をつなぐ「マチモノ植樹プロジェクト」

植樹 世田谷区 街の木

私たちはこれまでにたくさんの伐採現場に関わり、そのなかで当初考えていたよりもはるかに多くの人々が、木が伐られてしまうことに悲しみや憤りを感じていることを知りました。また同時に、伐採を決めた木の所有者や管理者の方々にも、様々な事情があることも知りました。

植樹 世田谷区 街の木

大きな木や広い緑地の伐採計画が地域に知られると、伐採反対の運動が起こったり、移植によって木を残せないのか? といった提案や要望が多くの場合出てきます。

しかしながら、土地の権利者が合法的に行う開発を止めることは、大抵の場合不可能です。移植には莫大な費用がかかるばかりか問題も山積で、容易に実現できることではありません。

植樹 世田谷区 街の木

また、街の大きな木は剪定などでダメージを受け、傷んでいることが多いものです(実際に私たちが見てきた伐採された木の多くには深刻な傷みがありました)。その木が街にある以上、幹折れ等のリスクを無視することはできません。こうした理由で止むを得ず伐採される木もたくさんあります。

植樹 世田谷区 街の木

特別な理由がない場合でも、日常的に行わなければならない落ち葉や枯れ枝の清掃、病害虫対策、大木の剪定作業には高所作業車や特別な技術者が必要で、相当の経済的負担への同意がなければ、街で大木を維持していくことはできません。木を伐ることを決めた人は多くの場合、自然を破壊しようという意図があるわけではなく、それどころかこれまでの長きにわたってその木に愛情を注ぎ、手間をかけ、コストを負担してきたまさにその人でもあるのです。

木を残したいという思いは、木を伐ることを決めた人も伐るなと言う人も、同じく持っているものです。その上で、木を残すことによって生じる管理費の増大やリスクを誰が負担するのか? 誰も負担しないというのでは、木を残すことはできません。

苗木 世田谷区
(更地にされる予定の現場で、小さな木の苗を掘り起こす)

マチモノでは「保護」か「伐採」かといった二項対立的な立場の一方に立つのではなく、様々な事情が絡み合う現実をしっかりと受け止めつつ、現実的にできることを見つけて行きたいと考えています。

そしていま、「伐採されてしまう木々から苗を作り、育て、また植える」ということに取り組んでいます。伐られてしまうことは如何ともし難い、そんなとき、その伐られてしまう木から実生や挿し木などによって苗木を作り、命を繋げ、地域の人々の手で育て、また私たちの街に植えて行ければと思うのです。

苗木 世田谷区

こちらの現場では、足元にたくさん生えてきていた大きな木の子供たちを救出して来ました。イヌマキ、シロダモ、ヒノキ、クチナシ、シャリンバイ、マテバシイなど、どの木もいまのところとても元気です。

「苗木」と言われるととっつきにくい感じがするかもしれませんが、観葉植物としてもアリだと思いませんか?

このようにして集めた苗は、できるだけたくさんの人の手で育てていきたいと考えています。今回のように木の赤ちゃんを助けに行ったり、挿し木やどんぐりで苗を作ったり、園芸・植樹や苗作りのご経験や興味のある方、どんな関わり方でもOKですので、ぜひお気軽に、活動に参加していただければと思います。

苗木 世田谷区

また、今回集めた苗木をもらってくださる方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。枯らしてしまったらどうしよう、などと心配することはありません。大きく育てず盆栽のように楽しんでいただいても結構です。お庭やベランダや店先やオフィスの窓際で、楽しみながら育ててみませんか?

苗木 世田谷区

植える場所についてもこれから探していきますし、植えたい場所があるという方からの連絡もお待ちしております。多くの皆様のご参加・ご協力をいただければ幸いです。

苗木紹介(一部) 2015年12月

イヌマキ (4本)
カキ (1本)
ヒノキ (1本)
マテバシイ (1本)
ケヤキ (1本)
クチナシ (2本)
シャリンバイ (1本)
イチョウ (1本)

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