都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

マチモノ代表、湧口善之の木工作品とイラストレーター横山恵による絵入りの説明など。

何種類の木があるのか、とにかくたくさんの木があります。お庭の木であったり街路樹であったり公園の木であったり、普段目にしている木々が木材としてはどんな魅力を持っているのか、ぜひご覧いただければと思います。

ただ街の伐採木で作った作品や街の木の現状、私たちの取り組みを紹介するだけでなく、木の世界、木のものづくりの、簡単には言い切れないところ、伝えにくいところを、現物の作品や資料を見ながらキャプションをお読みいただいたり、常駐するスタッフと話したりすることで伝えられないかと思い、工夫しました。

【食器・カトラリー】
カトラリー:ウメ、キンモクセイ、樹種詳細不明の桜数種、山桜、ソメイヨシノ、アキニレ、カキ、シデ、ナツミカン、ナンテン、ツツジ、カヤ、トウネズミモチ、ハナミズキ、ビワ、ケヤマハンノキ、シダレモミジ、アオキ、ケヤキ、etc.

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

 

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

都市森林プロジェクト展示2016 世田谷美術館区民ギャラリーにて

どんぐり料理のレシピも

【道具と道具に使われる木々たち】
一般的に力のかかる道具の柄にはシラカシが、ノコギリには桐(大鋸は針葉樹など)が使われますが、街の木にはシラカシ以外にも使える材がいろいろあります。

斧Aの柄:シラカシ、 斧Bの柄:モッコク、ハンマーAの柄:シラカシ、ハンマーBの柄:ナツミカン、玄能Aの柄:ビワ、玄能Bの柄:ハナミズキ、大鋸Aの持手:ノダフジ、大鋸Bの持手:カヤ、窓鋸の持手:キウイ(実でお馴染みですね)、皮むきの柄:シュロ、目立てヤスリAの柄:桐、目立てヤスリBの柄:アオキ

道具箱はアカマツを主材に、ヤマザクラ、エンジュ、シデ、ヒマラヤスギ、クロマツ、クスノキ、ミズキ、マテバシイ、スギを使用。透明の蓋は世田谷区で出た廃プラスチックです。

【 ハンガースタンドとハンガー】
ハンガースタンド:ミズキ、プラタナス、ノダフジ

ミズキは暑い最中に一本向こうの通りに面した空き家で伐られたものでした。既に解体屋さんのトラックに積み込まれていた中から発見して苦労して引っ張り出しました。100Kgちょいある丸太を数百メートル引きずって持って帰り、精魂尽き果てたのも今となっては良い思い出。ノダフジもこの現場とはまた別の現場ですが、数件隣の解体現場から入手しました。

ハンガーは要の部分を防虫効果のあるクスノキで。アームには細くて曲がった枝を活かしました。アームはツツジ、カツラ、ゲッケイジュ、ヤマツツジ、クスノキなど。

【街の木の資料】

街の木々の木材サンプルや、写真や絵による街の木の現場や問題点を伝える資料を展示。

「街の木活用の難しさ」を説明する一角も。木工品として出来上がったものだけを見ていると、「街の木は使える! むしろ良い! どんどん使おうよ!」と単純に考えてしまいがち。しかしながら、様々な問題があるから現場使われていないのです。その問題を正しく知ることは、街の木だけでなく山林の木々(いわゆる国産広葉樹)の活用の難しさを知ることにも繋がります。

今日では、かつてのような無節信仰が薄れており、節があっても良いよね、いや節がある方が良い、さらっとした伝統的な価値観で言うところの良材よりも、節や欠点もある個性的な材の方が面白い、そういった思いを持たれている方も多いように感じます。古い価値観にとらわれず、ニュートラルな目で素材の魅力が発見されるのは素晴らしいことです。

その上で、節や様々な木材の欠点(=個性)は、単なる表面上の模様ではなく、そうしたものを取り入れてものを作るということがどういうことなのか、ものづくりのリアリティを多くの方々と共有できればと思いました。資料として木材の「傷みや欠点」の標本を用意しましたが、これは今後、もっともっと充実させていきたいと考えています。

【街の木の椅子】

ヤマザクラ、桜の一種、エノキ、クリ、ナツミカン、スダジイ、モッコク、モチノキ、ヒメシャラ、カキ、サザンカ、サルスベリ

マチモノハウスの隣家の建替で伐られたネズミモチ。細い木で曲がっていて、椅子1脚の材を採るのがやっとでした。

積木。今回は基本的に触ることができない作品ばかりでしたが、次回は触ってみたり、香りを比べたりできる仕掛けも作りたいと思います。

ここで紹介させていただいた以外にも、たくさんの作品がありましたが、ひとまずはこのくらいで。

また来年も、さらに内容を充実させて開催予定ですので、是非多くの方々にいらしていただければと思います。

(木工品製作:湧口善之&assocaites、絵:横山恵)

⬅︎目次へ

⬆︎Topへ

 

inserted by FC2 system